「市民が主役の裁判員制度を! 」
〜司法制度改革の柱、裁判員制度〜
民主党『次の内閣』ネクスト法務大臣 小宮山洋子
民主党は、今回の司法制度改革を、市民が主役の司法をめざす重要な改革と位置づけて、実現のために積極的に提言してきました。
この通常国会に、司法制度改革関連の法案が10本提出される予定ですが、裁判員制度は、大きな柱となるものです。三権の中で、私たちから最も遠い司法に、国民が直接参加し、多様な価値観や社会常識を反映させ、国民主導で正義を実現する制度で、これからの日本社会を、国民主権に変えていく役割を果たすものと考えています。
<裁判官と対等に評議するには>日本の裁判員制度は、アメリカの陪審制(市民の陪審員が裁判官とは独立して、事実の有無、有罪か無罪か評決を下す制度)とドイツやフランスなどの参審制(選ばれた市民が裁判官とともに、事実認定から判決まで話し合いながら裁判・審理する制度)の双方の要素を取り入れた形になっています。
裁判官と裁判員の割合について、当初、自民党では裁判官3に裁判員4という案が考えられていましたが、与党調整の結果、政府案では、裁判官3と裁判員6となっています。
民主党は、多様な価値観を反映し、専門の裁判官と対等に評議するためには、総括裁判官クラスのベテランの裁判官1(補助的な仕事を
する判事補1を加えることも考えられる)と裁判員10名前後と考えています。
裁判員制度導入に関心をもっている市民グループ、日弁連、連合など、多くの意見が、裁判員は裁判官の3倍は必要というものです。
<過度の負担を避ける>裁判員の選び方は、選挙人名簿から無作為で抽出し、事件ごとに、その名簿からくじで候補者を選任することになっています。その中から、欠格、禁止条件に該当する人や不平等な裁判をするおそれのある人などは除外することになっています。
重い疾病や介護・養育の必要、従事する仕事に著しい損害が生じるおそれがあるときなどは辞退できるとされています。国民に過度の負担をかけないようにする必要があります。勤労者の場合、事業主は休業を認めねばならず、不利益取り扱いをしてはならないとされています。予算委員会での私の質問に対して、労働基準法第7条の「公民権行使の保障」(選挙権その他の公民権行使)の適用があるとの答弁が政府からありました。
民主党としては、その確認に加えて、裁判員休暇制度の創設を求めています。また、みてもらえばできる人のために、裁判所に託児所や託老所を作ること、義務を一定期間延ばすことができる延期制度を提案しています。
<可視化法案を準備>
裁判を迅速で充実した集中審理にすることが、ふつうに暮らしている国民を裁判員にするためには求められます。
審理は、1日から何日までと明確に答えることはできないと政府側は答えています。裁判員にわかりやすい審理にするた
めには、これまでのような捜査の仕方、供述調書をもとにするやり方では無理です。取調べの状況をビデオ録画し、可視化します。可視化を条件に調書を利用できるようにし、直接、口述で行っていくことを徹底すべきと主張し、可視化の法案を用意しています。この裁判員制度で、最も問題なのは、守秘義務だと考えています。裁判員は、公判中はもちろん守秘義務が必要ですが、終わった後も、守秘義務がずっとかけられ、違反した場合は懲役または罰金とされています。個人のプライバシーに関することや、評議で誰がどう言ったということは、守秘義務が課されて当然だと思いますが、裁判員制度への理解を深めるためにも、公判が終わった後、体験を一定の範囲内で、希望する人は話せるようにした方がよいと主張しています。
何が許され、何が許されないか、わかりやすいものを作っていきたいとの答弁が法務委員会で質問をした際にありましたが、守秘義務の範囲と意見表明の自由との関係で、さらに検討が必要な点です。また、守秘義務違反に懲役刑もあるのは、ただでさえむずかしそうな裁判員になることを躊躇させることになるのではないかと思っています。ふつうにしていれば懲役刑はまず考えられないという答弁ですが、この点もつめていきます。
<年4000人に1人>裁判員制度の対象となる事件は、政府案では死刑や無期懲役が考えられる重大な刑事事件とされています。国民が注目をしていて、数も限られているからということですが、対象をどうするかによって、かかわる国民の数も違ってきます。
現在の政府案では、選ばれて裁判所に行くのは、ふさわしくなかったり辞退をしたりということを考えて、必要な裁判員の3倍程度とされていて、1年間に1300人に1人の確率といわれています。実際に裁判員になるのは年間4000人に1人くらいになる予定です。いつ、みなさんがなるかわかりません。自分のこととして考えていただければと思います。裁判員制度を充実したものにしていくためには、義務教育段階からの法教育が必要です。法務省では、法教育研究会を作り、学校教育の中での司法教育のあり方を研究しているということです。可能なかぎり早く始めないと、間に合いません。
取材・報道との関係については、当初、偏向報道の禁止という規定も検討されていました。これは、国民の知る権利と公正な裁判の実現のバランスが問われる問題ですが、基本的にメディアの自主規制にゆだねるということで規定はされないことになり、この方向でするべきだと考えています。
この国会で制度ができることになったとして、周知期間に5年を要すると政府はしています。しかし、5年は長すぎるのではないでしょうか。以前、陪審員制度ができた昭和3年のときに、その周知期間が5年でした。現在は、ドッグイヤー、キャットイヤーといわれるように5年一昔です。
情報の伝え方も発達してきています。国民は、ふつうの常識をもってあたればよいわけですから、もっと短くてよいと考えています。
国民が主体の裁判員制度にしていくためには、国民の理解が必要です。政府案が具体的に出てから報道も増えてはいますが、まだ、知らない人も多いのが現状です。様々な方法での広報・啓発を、政府はもちろんですが、積極的に導入をと考えている、民主党としてもしていきたいと思います。21世紀の日本社会を、民主党が考えている、市民・国民が主役の社会にしていくために、とても重要なかぎのひとつと思われる裁判員制度、みなさんも議論に活発に加わってください。よりよい形で、是非、この国会で成立させたい制度です。
(プレス民主 2004年3月19日)